どうも、ズル猫です。
今回の感想&評価は『炎炎ノ消防隊の1巻』になります。
炎を出すことができる主人公が、焔ビトと呼ばれる化け物を倒す(消火する)話です。
巻数:12巻 連載中
掲載雑誌:週刊少年マガジン
掲載時期:2015年~
作者:大久保篤
作者の他代表作
ソウルイーター
消防士とファンタジーを組み合わせたというのは、新しいですね。
消防士が化け物退治というのは、今までなかなかなかったのではないでしょうか。
いつ、どこで、焔ビトが発生するかわからない、といった状況も
本物の火事と同じなので、緊迫感がでますね。
ですが、要素の組み合わせが活かせていない部分もありました。
火事=焔ビトというのは、突発性や同じ火ということで繋がっていますが、
消防士の方が、同じく火を使っているというのが、若干違和感がありました。
火に対して火という構図は、どう見ても「火を消す」というイメージに合わないですね。
そこは普通に「水」で良かったのではないでしょうか。
火を使う消防士という設定だと、火事場で戦う為に火を使うことになるので、
下手をしたら燃え広がってしまいます。
これが焔ビトも消防士が使う火も、現実のものではなく、
ジョジョの奇妙な冒険のスタンドの能力的なものであれば、まだ納得はできます。
つまり、本物の火ではなく、人にしか影響がしない炎という感じです。
そして、スタンドと同じく、能力によって発動した炎は、同じ能力によって発動した炎ではないと
消せないという設定なら、なんとなく納得はできたかな、と思いました。
ただ、やはり、火を火で消すというのは、見た目として違和感がありますが。。
1ページ目に世界観を説明するというタイプでしたが、
説明しきれていない印象を受けました。
書かれているのは、この世界での死因のトップが焼死であることだけです。
人間が自然発火して焔ビトが現れる、というも説明されていません。
どうして焔ビトが発生するかがわからないのはいいのですが、
どのくらいの頻度で起こるのか、また、その世界の人は焔ビトのことを知っているのかや
せめて、その自然発火を止めるのは消防士という紹介くらいはした方がよかったと思います。
この辺の描き方は『僕のヒーローアカデミア』が秀逸だったと思います。
文字は多いですが、1ページの中で個性があること、その個性には色々な種類があること、
ヒーローという職業が存在するということを説明しています。
ですので、その後もヒーローがいることや個性を普通に使うことに抵抗がなく、
すんなりと頭に入ってきます。
また、1話の中で個性を持っていない人間は少数だということと、
ヒーローになる為には個性がないと無理ということが説明されています。
個性という能力を持っていない人間が、能力を持っている人間に勝つには、
相当厳しいというのはわかります。
そして、その個性を持っていない主人公が、どうやってヒーローになるのか、と
いきなり展開が気になるスタートになってます。
ちょっと話が逸れてしまったので、戻します。
この作品でも、同じように先天的に炎を使えるという人間が出てきます。
主人公も、その一人で、炎を出せるという設定なのですが、
炎を出す主人公に驚いている人がいます。
ということは、炎を出す人間が珍しいということになります。
ですが、1巻の後半では複数人、炎を出せる、操れるキャラが出てきます。
そして、どうやら、その能力を操る学校があるということも明かされます。
ということは、主人公はそこまで珍しいというわけではないのかと、疑問が出てきます。
能力を持ってる人間は消防士になるような感じで書かれていますが、
当然、ならない人間もいますし、悪用する人間もいると思います
そういう人たちに対して、国はどういう対策を取っているのか、
というさらなる疑問も出てきてしまいますね。
逆に消防士の中には、炎を出すことや操ることができない、普通の人間がいます。
相手は焔ビトです。
能力を持っている人間でも手こずるのに、普通の人間が消防士をするメリットが見つかりません。
何か理由があるのかもしれませんが、1巻では描かれていませんでした。
ヒロアカでもありましたが、なりたいと思っても現実は厳しいものです。
デメリットしかない人間を、国が消防士に置いておくでしょうか?
殉職者を出したら、国の責任になるのですから。。
また、1巻の最後辺りに、いかにも能力を悪用しているキャラが出てきます。
となると、敵は焔ビトと能力を悪用する人間の2つになってしまいます。
最初から、いきなり複数になると、逆に進みが遅くなってしまいます。
単純に最初は「BLEACH」の虚のように、敵は一つに絞った方が良かった気がします。
敵が2つの種類がいるのもあるのですが、主人公の目的も2つあります。
ヒーローになることと、母親を殺した存在を見つけることです。
恐らく、ストーリーに幅を持たせるために2つにしたのでしょうが、
2つあることにより、ストーリーが進むのが遅くなっています。
真っ直ぐ、ヒーローになる為に努力していくかと思えば、
母親の事件のことを知っている人間が出てきて、
その人間に話を聞くことに話がシフトしてしまいます。
「BLEACH」の一護も同じような感じでしたが
(一護の場合はみんなを護るという目的でしたが。こっちの方がヒーローっぽい思考ですね。。)
母親のことは、ある程度、話が進んでから出てきました。
世界観の説明と深堀りする為にも、まずは通常の事件をこなしていき、
十分読者にも世界観が伝わってから、母親の話を出せばよかったのではないでしょうか。
いきなり1巻で出されてしまうと、ストーリーが迷っているように見えてしまいます。
主人公は消防士になり、ヒーローを目指しています。
ですが、この世界の消防士は焔ビトが発動した、普通の人間を『楽』にしてあげることです。
人を助けるというより、止めを刺す仕事になります。
つまり、消防士で活躍するということは、多くの人間に止めを刺していくということになります。
(作中でも、そういう仕事だと表現されています)
まだ、兵士が敵兵を倒して英雄扱いされるのはわかります。
相手も、こちら側に危害を加えようとしているのを『守っている』のですから。
しかし、今回はある意味、事故のように焔ビトが発動し、発動したらもう助からないので
始末するといった流れです。
今回は被害者に救いがない設定なのです。
極論を言うと、消防士が現れるところには悲劇が起こっているということになります。
ちょっと、これで消防士として活躍してヒーローって言われても……って感じでした。
焔ビトが発動しても、焔ビトを倒すことで、発動してしまった人を救えるなら、
まだヒーローって感じがするんですけどね。。。
消防士とファンタジーを組み合わせたという素材は、かなり良かったと思います。
ただ、設定の部分で詰めきれていない印象でした。
純粋に勿体無かったなぁという感想です。
ですが、今後はその世界観もしっかりと深堀りされて、
ストーリーも勢いよく真っ直ぐ進むのであれば、かなり面白くなるのではないでしょうか。
ストーリー:☆
キャラクター:☆
伏線:☆☆
素材:☆☆☆☆
最後におすすめ度です。
☆☆
記事内で出てきた作品の感想も書いてます。
僕のヒーローアカデミア 感想
それでは、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。