今回はアニメにもなっている、「蜘蛛ですがなにか」の感想を書いていきたいと思います。
こちらの作品は「小説家になろう」で掲載させれているライトノベルが原作になります。
一般的なイメージとしては「なろう」=「異世界転生」というイメージが強いのではないでしょうか?
今回の作品は……はい。異世界転生ものです。
ですが、ハッキリ言って、あなたの想像する異世界転生とは一線を画す内容となっています。
まず、異世界転生ものと言えば、冴えない男が異世界に転生する際に、チート能力を貰い、その能力を使って無双してハーレム状態になる、というのがお決まりではないでしょうか。
有名な作品として「Reゼロ」や「ダンまち」も見せ方や切り口が斬新ですが、割と当てはまるのではないでしょうか。
ですが、今回の「蜘蛛ですがなにか」は全く違います。
まず、主人公は女子高生です。
その女子高生が異世界に転生した姿が「蜘蛛」なんです!
変わってますよね。
物凄い新しい切り口だなと思いました。
ただ、この作品の凄いところは切り口が新しいだけではなく、本当に設定が作り込んであります。
完全なオリジナルの世界ですが、本当に細かいところまで設定が作り込んであります。
よくある「ステータス」や「スキル」が存在しますが、その内容も細かく作り込んでいますし、スキルの内容もテンプレートではなく、面白い物ばかりです。
おそらく、作者である馬場翁先生はゲーム好きなのではないかと思います。
……いえ、プレイするのが好きというより、作ることが好きなのではないではないでしょうか。
視点や楽しませ方が、凄く作る側のような気がします。
また、この世界設定ですが、読者への見せ方もかなり上手いです。
この手の作品は、単に長台詞でダラダラと説明してしまうことが多いですが、この作品では、ちゃんと読んでる方が情報過多にならないように少しずつ少しづつ明かす形になってます。
主人公が女子高生でいきなり訳の分からない世界に飛ばされ、右往左往するという設定が上手いと思います。
主人公が知らない、知ることができないという中で、少しづつ世界のことがわかってくるというのは、主人公と一緒に読者もわくわくします。
かといって、情報が足りな過ぎて訳が分からないということもなく、要所要所で必要な情報を出しているといった感じです。
あと、この作品は本当に「漫画向け」という気がしました。
基本バトル物ですし、主人公が「蜘蛛」です。
小説の場合、イラストが提示されていない場合、リアルな蜘蛛を想像すると、あんまり感情移入しづらいというのがありそうですが、漫画にすることで、デフォルメされた蜘蛛が可愛いので、蜘蛛でも見ていて面白いです。
また、蜘蛛独特の動きや行動なども、考えられているなと思います。
ストーリー展開も読者を飽きさせません。
ドンドンと迫る敵とのバトルが繰り広げられていくのですが、チートではなく、ちゃんと人間であったときの知恵を駆使して、魔物と戦っていきます。
頭のいい蜘蛛って、こんなに凄いんだと感心してしまいますね。
昆虫が頭が良かったら、地球じゃ人間は繁栄してませんでしたね。
英知はなによりも偉大ということでしょうか。
話が逸れましたので戻します。
この作品はバトルと設定が非常にゲームっぽい感じです。
徐々に強くなっていく主人公が見ていて爽快です。
ゲームプレイをゲームの主人公視点で見ているような感覚です。
そして、なにより凄いと思うところが、この主人公、ずっと独りぼっちで戦っていきます。
仲間がいないんです。
可愛いヒロインもいなければ、イケメンのヒーローも出てきません。
ひたすら蜘蛛の主人公が戦っていくという展開です。
それの何が凄いかというと、「飽きさせない」というところです。
普通、キャラの掛け合いやキャラの魅力でストーリーを引っ張っていくものですが、この作品は主人公の魅力に全振りしていて、その主人公がずっと戦っているという展開なのですが、それでも飽きさせないんです。
どんなに魅力的な主人公でも、ずっと一人で延々と戦い続けるという展開はどうしても飽きてきそうな気がしますが、この作品はそんなことは全くありません。
次々に出てくるモンスターやストーリー展開で魅せていく作品になっています。
もし、「なろう」系ということでスルーしていたというのであれば、かなり勿体ないです。
まだ読んでいないなら、是非、お勧めです。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。