今回は龍狼伝の感想を書いていきたいと思います。
この作品は三国志をベースに、タイムスリップを組み合わせたストーリーになります。
主人公の志狼とヒロインの真澄が、修学旅行中に現れた龍に飲み込まれてしまし、三国志の時代に飛ばされてしまうというストーリーです。
最初は三国志が好きだった志狼が、その知識を使って軍師として敵を撃退するという内容でした。
これは面白い展開だったのではないでしょうか。
現代の科学の知識や、歴史的な記憶を駆使しながら、三国志の時代を生き延びるというハラハラした展開でした。
志狼自体は弱く狙われてしまったら、一巻の終わりという中で、自分の策によって人々が死んでしまうという葛藤に悩まされながら進むのが、この作品の面白さでした。
どちらかというと、ドラマや映画の構成に近かったのかなと思います。
ですが、漫画として見たときに、読者はきっと「物足りなさ」を感じたのでしょう。
漫画ではよくある、テコ入れが入ります。
つまり、バトル漫画という形に方向転換しました。
少年漫画の読者はやはりバトルが好きなものです。
バトル物に方向転換して大成功を収める漫画は数多くあります。
幽遊白書などはそれの代表的な漫画ではないでしょうか。
他にはリボーンなんかも、そうですね。
懐かしいところでいうと、まじかる☆タルるートくんなども、バトルに振りつつも、基本はちゃんと日常回をしていたという、ある意味、珍しいタイプの漫画でしたね。
そういうメリハリがあったので、バトル回が盛り上がっていた印象です。
話が逸れましたので戻します。
龍狼伝も、一気にバトル漫画へと方向転換しました。
そして、それは正解だっと言えるでしょう。
作者の山原先生が描くバトル描写は迫力があり、人間的な葛藤も良かったのですが、純粋なバトルの勝ち負けでの描写も読んでいてワクワクしました。
また、ヒロインが敵側に捕らえられてしまい、何とか救出しようと一途に思う恋愛要素も絡み、面白かったです。
ですが、回が進むにつれて、雲行きが怪しくなっていきます。
それはバトル側に寄せ過ぎたというところです。
三国志というベースがあるため、その流れに沿ってストーリーを進めていくと、どうしても矛盾が出てきそうになってきます。
そこで次なる一手として出したのが、「オリジナルキャラ」を出すという手法です。
オリジナルキャラであれば、史実に関係しないので、自由に動かせます。
ストーリー展開も自由に動かせるため、縛りがなく進めることができます。
この手法は良いと思います。
あまり、歴史に詳しくないので何とも言えないのですが、おそらく「キングダム」でも使われている手法でしょう。
ですが、龍狼伝での問題は「やり過ぎた」という点だと思います。
あくまで、戦いの主軸は三国志に置きながらも、敵や味方にオリジナルキャラを混ぜて、史実の裏ではこういう戦いがあったというような解釈の仕方をするというのが、本来の使い方なはずです。
そこをやり過ぎてしまい、主軸が「オリジナルキャラ」になってしまいました。
三国志の軸から離れていってしまったのです。
オリジナルキャラ同士の、オリジナルの戦いになるので、逆に「史実側のキャラ」を「出せなくなってしまう」のです。
そうなるとどうでしょうか。
三国志とは関係なく、オリジナルのバトル漫画となってしまいます。
ただ、ここまでの流れで主人公やオリジナルキャラクターに感情移入させている状態なので、主軸が主人公であれば読んでいて違和感はないかもしれません。
ですが、あくまで「三国志」が好きな読者は離れていってしまうという危険性があります。
なので、龍狼伝はあくまでバトル漫画として読む分には、迫力があって面白いのお勧めです。
ですが三国志の漫画と思って読むのは微妙かもしれません。
一騎当千の派手なバトルが好きであれば、是非、読んでみてください。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。