今回はDEAD Tube 〜デッドチューブ〜に関しての感想を書いていきたいと思います。
ストーリーの内容としては、youtubeのように、動画を撮ってアップロードして、その再生数を稼ぐというものです。
ただ、このデッドチューブはハイリスクハイリターンになってます。
再生数に対してのリターンが莫大な金額になるのですが、1番再生されたなかった人間は、デッドチューブに参加している人間が撮影の為に使った金額や、罪が全部擦り付けられるというものです。
つまり、再生数を伸ばすために犯罪を犯したとしても、再生数さえ稼げれば、その罪は一番再生されない人が受けるという形になります。
このルールの為、デッドチューブの参加者はドンドン過激なことをやっていく、という流れになります。
また、一度、このデッドチューブに参加してしまうと、降りることが出来ないというルールも存在し、嫌でも再生数を稼げることをするしかなくなるというわけです。
ユーチューブが流行っている現在では、馴染みやすく新しい切り口で、面白いネタだと思います。
では、先に結果を書きます。
私的にはあまりお勧めできません。。。
では、私の感想を書かせていただきます。
まず、この作品は「エロ」と「グロ」がかなり多めです。
話の構成上、当然ですね。
登場人物、つまり、デッドチューブに参加しているキャラクターたちは再生数を稼ぐため、ドンドンと過激なものを映すという流れですから当然、そのシーンはエロもありますし、グロもドンドン過激になっていきます。
絵が綺麗なので、エロやグロは読者サービスになっていますが、逆にあざといと感じてしまいました。
あざといエロは読者への強い引きになる反面、冷めてしまう危険性があります。
なので、あざといエロが苦手という場合は、読むのはやめておいた方がいいでしょう。
また、グロに関してなのですが、エグイ描写があるのはいいのですが、「胸くそ」展開も多いです。
一応、それをやった人間に罰がくだるという構成にはなりますが、そのシーン自体が読んでいてちょっと引いてしまいました。
ただ、このエロとグロに関しては完全に好みの問題になりますので、ここが面白くてハマるという人もいるかと思います。
次に気になった点は、キャラクターです。
主人公は撮影技術が高いという設定なのですが、もう一つ、残酷な映像を見ると興奮するという変態です。
……もう、この時点で感情移入は無理ですね。
主人公に対して感情移入できないと一気に引いてしまいます。
ダークヒーローも感情移入し辛いのに、面白い作品はたくさんあるだろ、と思ったのではないでしょうか。
確かにダークヒーローものも、面白いものはたくさんあります。
ですが、ダークヒーローものはあくまで、ちゃんと読者が感情移入できるように工夫されています。
つまり、行動は法に触れる、やってはいけないことをやるというものですが、その「動機」はちゃんと読者にも共感できる部分を作っています。
ダークヒーローものとしてデスノートがあります。
最初、ライトのやろうとしたことは「犯罪者を世界からなくしたい」という、ある意味、理想の世界を作りたいという動機は理解できます。
なので、最初の頃はライトのやっていることは犯罪でも、応援ができます。
(後の方になると、この動機の部分が弱く感じて、やっていることが過激になりドンドン感情移入しづらくなって、応援できなくなっていきましたが……)
なので、ダークヒーローにするなら、いつにも増して、「動機」と「行動」の部分が大事になっていきます。
このデッドチューブの主人公は、このデッドチューブ自体のやっていることが許せない、運営を暴いてやるという動機です。
確かに、その動機は理解できます。
誰でも、こんなルールで人間を追い詰めていくなんて悪そのものです。
ですが、どうでしょう。
この主人公自身も、かなりあくどいことをしてます。
犯罪だろ、ということもやります。
そうなると、「お前が言うな」と感じてしまいました。
あと、デッドチューブのストーリーの設定上、撮影技術が高いというのはアドバンテージになります。
ですが、物語の主人公として、このスキルはどうでしょうか。
撮影技術が高いと言われても、「デッドチューブの運営を暴く」という目的に、あんまり引っかかって来ないんですよね。
一応、頭のいいキャラとして描かれていますが、それなら、「頭がいい」という設定にしておき、撮影技術は低いので、四苦八苦する、というほうがストーリー上では盛り上がったのではないかなと思いました。
まあ、どちらにしても、残酷な映像に興奮するという時点で、大きなマイナスになっている気がしました。
これも、逆に苦手というかトラウマになっていて、吐きながらも、その現場に向き合い、乗り越えていくのと、こんな残酷な映像を映させようとする運営に対して憎しみが膨らんでいく、という方が自然かなと思いました。
今の「残酷な映像を見ると興奮する」という設定だと、デッドチューブは主人公にとって、絶好のコンテンツになってしまいます。
この主人公の性癖は敵のボスかライバルの方に入れた方が対立構図を自然と作れたのではないかと思いました。
あと、もう一つ、引っかかった点としては、ヒロインが強すぎるという点です。
主人公は頭脳、ヒロインが実行するという役割分担なのですが、このヒロインが本当に強すぎます。
チート級です。
なぜ、こんなに強いのかというのも謎ですが、ここまで強いと、全部ヒロインに任せればいいとなりますし、どんなに主人公が追い詰められても、「どうせヒロインが助けに来るだろ」となってしまい、緊張感が薄くなります。
もちろん、主人公なので死なないというのはわかってます。
わかってますが、「このピンチをどう切り抜けるか」というところでハラハラするところが、「きっとヒロインが助けにくる」と思ってしまいます。
もちろん、主人公の機転によってピンチを回避することもあります。
ですが、どうしても「ヒロインが助けに来る」というのが頭にあるので、ハラハラできなかったりします。
以上が、私的に引っかかった点になります。
色々とマイナス面を書きましたが、シュールなギャグシーンなどは面白かったです。
それに、エロとグロに関してはしっかり描かれているので、シーンとしての強さはかなりあります。
なので、エロとグロが好きなのであれば、きっと満足できる作品なのかなと思いました。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。