今回はThis Man その顔を見た者には死をの感想を書いていきたいと思います。
This Man(ディスマン)といえば、都市伝説で一時期、凄く有名になりました。
この漫画はそのネタを使った漫画になります。
ディスマンの都市伝説は、精神科の先生が患者から聞いた話をまとめていると、不思議なことに気づくというものです。
それは患者が夢に出てくる男の顔が同じということです。
バラバラの人が、同じ男が夢に出てくるというものです。
そして、それをテレビで放送すると、視聴者からも「自分もその男が出てくる夢を見る」と送られてきた、という都市伝説です。
確か、これは政府の実験だった、という派生した都市伝説があるみたいですが、話が逸れていってしまうので、止めておきます。
では、漫画の方の話に戻ります。
このディスマンですが、ネタとして使っているのは「ディスマン」という名称と顔だけです。
夢に出てくるなどの部分は使われていません。
なので、都市伝説を深掘りした漫画だと思って読むと、あれ?っと思ってしまうので、気を付けましょう。
それでは、先に結果を書いておきます。
私的にはお勧め度しては、微妙です。
それでは、なぜ微妙に思ったのかと感想を書いていきます。
一番、引っかかった部分としては、尻つぼみ感です。
漫画としては一応は綺麗な形で完結しています。
ですが、おそらく、数か月前くらいから終わりを宣告されて、慌てて畳んだという感じがしました。
正直、結末を読んだときは「え? そんなオチ?」と思ってしまいました。
ただ、逆に言うと、3巻くらいまではかなり引き込まれて読んでました。
色々な組織が絡んでいる感じがして、ページをめくるのが止められませんでした。
主人公は警察官なのですが、その警察の組織さえも裏で動かしてしまうほどの強大な組織が匂わされてました。
また、大どんでん返しが上手く、ええ!と驚きながらも、これからどうなっていくんだろうと引き込まれていきます。
絶体絶命に陥った主人公が、何とかその場を切り抜けていく、というストーリー展開で面白かったです。
ですが、4巻くらいになると、「またか」という感覚になってきました。
つまり、大どんでん返しをやり過ぎたという感じです。
大どんでん返しは最後や、ここぞというときに使うと、シーンや物語を盛り上げ、読者を惹きつけます。
ですが、大どんでん返しは劇薬です。
使い過ぎると、読者は「慣れて」いってしまいます。
そこでやってはいけないのが、ドンドン過激な大どんでん返しにしていくことです。
過激にしよう、過激にしようと、そこだけに意識を向けてしまうと、ストーリーとは関係なく、強引になってきますし、奇抜さばかりに目がいってしまい、着地地点が変な方向に行ってしまいます。
大どんでん返しは見事に着地してこそ、「おお!そうだったのか!」と思わせてこそ、成功です。
「ん?」と思わせてしまっては、逆効果になってしまいます。
この作品はこの、大どんでん返しに取り憑かれてしまった印象を受けました。
そのせいで、オチを知ったとしても「ん? んー。ああ、そうなんだ……?」という感じで、驚きも少なくなっていきました。
ですが、それに焦ったのか、物語はさらに奇抜さを狙って大どんでん返しを狙って行くといったと感じました。
そんな中、急遽、終わりが迫り、慌てて着地させようと、何とか雰囲気的に終わりに持って行ったのではないでしょうか。
そもそも、この黒幕が、警察を動かせてたとは思えないんですよね。
まあ、金で動かしてたというのもあるのですが、「強大な組織」をイメージして読んでいたのに、そのオチだと「しょぼい」となってしまうんですよね。
また、大どんでん返しを意識し過ぎたせいで、キャラの性格がつかみづらかったです。
どれが本音なのか、というのがわかりづらかったです。
例え、本音で話していたとしても、それが「何かの伏線なんじゃないか?」と思ってしまい、信用できないという感じでした。
もしかすると、作者はそれを狙っていたのかもしれません。
一体、誰を信じていいのかわからない、という演出だったのかもしれません。
ただ、これが効果的だったのかと、言われるとどうなんでしょう。
この部分は感じ方は人それぞれかもしれません。
ただ、この作品はストーリーの見せ方は凄くワクワクして、盛り上げ方が物凄く高度だと思いました。
なので、正直、自分勝手な感想ですが、人気にとらわれることなく、当初思い描いたままのストーリー展開で最後まで描き切ってもらえれば、凄い名作になったのではないかと思いました。
ハラハラしたサスペンス漫画が読みたいと思ったなら、読んでみてはいかがでしょうか。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとございました。