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【漫画】僕のヒーローアカデミア30巻 感想 ネタバレ有り

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今回は僕のヒーローアカデミアの30巻についての感想を書いていこうと思います。

単行本なので、お勧めかどうかは今回は書かないでよいかなと思います。
既に読んでいる場合はそのまま読むと思いますので。
なので、今回は感想のみを書いていきます。

ネタバレ有りなので、ご注意ください。

前回は目覚めた死柄木弔を出久たちが追い詰めたという内容でした。
今回の30巻では出久側も、弔側もみんなボロボロになりながらも、何とか立て直そうとするストーリーです。

弔側は、ボロボロになった弔をなんとか逃がして、出直そうとしていて、ヒーロー側はなんとかここで決着を付けたいという意思のぶつかり合いとなっています。

かなり盛り上がっている内容になっています。

……ですが、私的には正直、『ゴチャゴチャ』しているという印象を受けました。
これは絵がというわけではありません。

キャラの視点がコロコロと変わるところです。

まだ、ヒーロー側の中で、キャラの視点が変わるというなら良いです。
バラバラの場所で戦っているので、それぞれの状況を見せるために、ヒーロー側の仲間の視点での話を見せるというのはよくある手法だと思います。

ワンピースのアラバスタ戦でも、それぞれの戦いを仲間視点で描いていました。
ですが、ヒーローアカデミアでは、ヒーロー側だけではなくヴィラン側のキャラの視点でも物語が描かれます。

この手法だと、どうしても感情移入がし辛くなります。
ヒーローとヴィランでは「思いが全く逆」だからです。
ヒーロー側の心情を描いたあとで、ヴィラン側の心情を描かれると、すぐには感情移入できません。
正反対の主張なので当然ですね。

おそらく、作者は悪の方にも信念があって動いている、その信念同士がぶつかることで面白くしようという意図なんだと思います。

この手法は「弱虫ペダル」でも使われています。
試合の途中で、敵側の心情(過去シーン)を描くことで、敵側の「負けられない理由」というのを見せた上で、主人公たちと戦っているので、読者の方も敵側のキャラの方を応援したくなるというのがあり、「どっちが勝つんだろう?」ということで盛り上がります。
ある意味、弱虫ペダルは敵側、つまりライバル側のキャラも人気でしたね。

ただ、この手法は「スポーツもの」だからできるものなのかなと思います。
なぜなら、ライバル側の「スポーツに勝ちたい」という思いは「理解できる」からです。
スポーツで頂点を目指すというのは、倫理上、全く問題ありません。
スポーツ選手なら当然の思いです。
なので、読者も受け入れやすいというのがあります。

ですが、ヒーローアカデミアのように、善悪がわかれるような設定の場合は難しいのではないでしょうか。
なぜなら、ヴィラン側は悪であり「犯罪者」です。
倫理的には「受け入れがたい」信条になります。
確かに、そんな敵側にも「理由」があるというのは敵側に深みが出ます。

ですが、読者はそんな敵を「応援」するでしょうか?
敵側を応援するというのは「悪を受け入れる」ということになります。
これはかなり難しいです。
よくある、ダークヒーローものは、主人公側が犯罪的なものを行うのを感情移入してもらうために、「理由」を語ります。
つまり、主人公が「正しい」と思わせるようにするというものです。
これは、主人公に感情移入してもらい、「主人公の正義」を示すという意図になります。
なので、主人公がピンチになれば、読者は主人公を応援したくなります。
つまり、作者は「主人公に感情移入させたい」という思いで描いているかと思います。

ですが、ヒーローアカデミアの場合はどうでしょうか?
例えば、弔側の過去を描き、弔の方に感情移入してもらうとします。
ですが、それは主人公の出久が敵に見えるということになります。
これは作品として合っているのでしょうか?

上でも書きましたが、確かに敵側に戦う理由があるというのは深みが出るかと思います。
ですが、逆に描きすぎることで、読者が「どっちに感情移入すればいいのか」というのがわからなくなります。
そうなってくるとどうしても物語に集中しづらくなるのではないでしょうか。

また、ヴィラン側のことを描くことで、ストーリーが停滞してしまいます。
今回の巻は進みがあんまりなかったような印象を受けました。

たくさんキャラが出てきて、状況を把握するのにも大変です。

今回の30巻は、正直、作者が「読者にどう思って欲しいのか」というのが分かりづらく感じました。
ヒーロー側を応援してほしいんでしょうか?
その割にはヴィラン側の友情も描いているので、ヒーロー側が勝利したとしても、読者は「清々しい思い」はないのかなと思うのですが、どうでしょうか?

ジョジョの3部のディオは絶対的な悪として登場し、それを倒すことですっきりするという清々しい感じがしましたが、どうしても、敵側の方の理由を書いてしまうと深みが出る半面、勝った時のスッキリ感が薄くなってしまう気がします。

この前のシリーズであるオーバーホール戦は、敵の心情が語られてはいましたが、ヒーロー側が絶対的な正義だったので、勝った時には「よかった」と思えました。
なので、読んでいてもずっとヒーロー側が応援できたので、読みやすかったですし、面白かったなと思いました。

おそらく、ヴィラン側とヒーロー側のダブル主人公でいくのでしょうか?
それでなくても、ヒーロー側にたくさんキャラがいるので、それをヴィラン側にも伸ばすとなると、ストーリーの停滞が起こりそうです。

デスノートでも、ライトとLという、ダブル主人公のような感じで進み、どっちが勝つのかわからないという構成になってしましたが、このような構成になっていくんでしょうか。

今後はどのような方向性になっていくのか、引き続き、僕のヒーローアカデミアを追っていきたいと思います。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

僕のヒーローアカデミア 30【電子書籍】[ 堀越耕平 ]

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