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【漫画】四月は君の嘘 感想

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今回はアニメや実写映画にもなった、四月は君の嘘の感想を書いていきます。
単行本の2巻までしか読んでいない状態の感想になります。
ご了承ください。

最初に結果を書きますと、私的にはそこまでお勧めできません。

では私的に引っかかった部分を書いていきたいと思います。

まず、前提を書かせていただきます。
音楽系というジャンル自体が漫画では難しいというのがあります。

というのも、「実力を表現しづらい」という点が大きいですね。
バトル漫画であれば、戦う描写と実際、相手と戦って勝敗が出ることによって「強さ」というのが読者に伝わります。
ですが、音楽系の場合、どのくらい凄いのかが表現しづらいです。
結局、聞いている人が「凄い」と言うくらいしかできません。
まあ、直接、演奏対決をすることで、相手が負けを認めることで、凄さを伝えることができます。
ただ、相手が「負け」を認めるということは「相当な差」がないと不自然です。

というのも、音楽の「勝敗」を決めるのは「感性」だからです。
聞いた人の感性が、こっちの人の「音楽の方が好き」という部分での勝敗になってしまうからです。

音楽は譜面通りに完璧に表現すればいいというわけではなく、そこに「ニュアンス」を込めることで評価されていくものです。
言ってしまうと、「聞いた人次第」で勝敗が決定してしまうということがあります。

バトルやスポーツの場合は第三者はあまり関係なく、本人の実力で勝敗が付くので強さという部分が表現しやすいです。

まとめますと、音楽系の漫画は純粋に音楽だけでの勝ち負けでストーリーを進めていくのが難しいというのがあります。
また、漫画なので、実際の音楽を聴けるというわけではないので、尚更ですね。
(まあ、聞けたところで、素人の耳では判別できないでしょうが。。。)

なので、音楽系の漫画には、音楽だけではなく、他に何かの要素を足さないといけません。

大体の音楽系の漫画は男女の恋愛も絡めた形でストーリーを進行していきます。
軸としては本編の音楽と同等、またはそれよりも比重が多く語られていく形になります。

四月は君の嘘も、音楽とプラスして恋愛が描かれていく流れになります。

音楽と恋愛は相性がいいと思います。
音楽と事件、音楽と復讐だと、斬新ですがテーマと合わなさそうですからね。

それでは、引っかかったポイントを書いていきます。

まず、キャラクターが弱く感じました。

主人公は小さい頃から母親に英才教育を受けて、数々のピアノのコンクールで優勝している有名人です。
前提のところでも書きましたが、音楽系は強さの表現が難しいので、大体は「最初から上手い、有名」という設定が多いです。
それは仕方ありませんね。
練習して「上手くなった」というのが表現しづらいので。
なので、最初から上手い方がストーリーも展開させやすいのです。

話が逸れました。
その主人公ですが、母の死のショックによりピアノの音が聞こえなくなるという葛藤を持っています。

そして、その対となるヒロインは天才バイオリニストになります。
ヒロインは楽譜を無視して弾くという感性に特化したキャラクターとなります。

では、これを踏まえて、音楽系の漫画として有名な「のだめカンタービレ」のキャラクターを見てみましょう。

主人公の千秋は一流の腕を持った指揮者ですが、飛行機恐怖症のせいで、世界に打って出れないという葛藤を持っています。
そして、対となるヒロインののだめは音楽の才能はピカ一ですが、楽譜通りに弾けない(弾かない)というキャラクターです。

のだめカンタービレの場合はギャグ漫画なので、キャラがリアルよりも外した形になっているので、キャラクターが特徴的になっています。

ですが、ここでいうキャラクターの強さというのは特徴的かどうか、という点ではありません。
リアルよりの作品の場合、キャラを特徴的にし過ぎてしまうと、返って作品の雰囲気と合わず、異質なものになってしまいます。
ここでいうキャラの強さは「目的」になります。

のだめの千秋は「世界一の指揮者になりたい」という目的が最初に示され、それに向かってストーリーが進行していきます。
なので、読者も何に向かって話が進むのかがわかります。

ですが、四月は君の嘘の場合、主人公はスタート時点でトラウマから音楽から離れています。
ヒロインの強引な誘いにより、音楽の世界に戻ってきますが、「主人公自体は何がしたいのか」が提示されません。

別に主人公にしっかりとした「目的」がないといけないわけではありません。
巻き込まれ型の主人公の作品はたくさんありますからね。
気になったのは「ヒロイン側」にもしっかりとした目的がよく見えてこないというところです。
最終的にどうなりたいのか、というのがないので、何に対して走っているのがわからないわけです。

コンクールでいい成績を取りたいというなら、楽譜から外れるようなことはすべきではありません。
自分の思うように弾いて理解してほしいというのは、ちょっと傲慢な感じがします。
ただ、傲慢だとしても、「コンクールで優勝したい」など、はっきりとした目標を提示してくれば、わかりやすいです。
ですが、その辺、何がしたいのかが描かれないので、何がしたいのかがよくわからないんですよね。
ピアノの音が聞こえなくなったら主人公を無理やり音楽の世界に引き戻すだけの意思が見えないので、ちょっと自分勝手に見えてしまうんですよね。
「何が何でも、トップを取りたい。そのためには何を犠牲にしてでもそこに辿り着く。だから協力して!」というのであれば、我がままですが、強いキャラクターになるかと思います。

その辺がふんわりなので、どうしても物語としてもふんわりとした印象を受けました。

また、主人公も流されて、音楽の世界に戻るのではなく、ちゃんと自分の意思で「やっぱり音楽をやりたい」という思いで戻ってきてほしかったな、と。

次に引っかかったところは音楽と双璧をなす、恋愛の部分です。

2巻までなので、仕方ないのかと思いますが、恋愛模様がまるで見えてきません。
幼馴染の女の子は一体、なんなんでしょうか?
主人公のことが好きなのかと思っていたら、実は違うような行動をとります。
主人公自体も幼馴染の女の子のことはあまり、異性として意識していないように思えます。

また、もう一人男のメインキャラがいるのですが、このキャラが一体、何をするためにいるのかが不明です。

一応、主人公の恋のライバル的な存在になるのでしょうが、親友ポジションからヒロインを奪い合うって……どうなんでしょうか。
まあ、その辺は置いておいて、何が引っかかるのかというと、幼馴染の女の子と親友のキャラは音楽とは別軸にいるというところです。

音楽の話なのに、これは致命傷かなと思いました。
音楽と恋愛が完全に分けて描かなくてはなりません。
これが音楽の関係者であれば、「次のコンクールで上位になった方が…」ということで音楽に絡められるのに、と思いました。
これも3巻以降で、そういうキャラが出るのかもしれませんが。。
ただ、そうであるなら、最初からこの二人はそこまで必要じゃないのかなと思いました。

まとめますと、キャラたちの音楽的な目的と、恋愛の部分の関係性が見えづらいということで、2巻で止まってしまいました。
なので、私的にはお勧め度は微妙となっています。

ですが、雰囲気としては優しい世界なので、あまりドロドロとしたものが好きではない場合は合うかもしれません。
また、主人公がいわゆる悩み系(エヴァンゲリオンのシンジに近い感じ)で、リアル寄りなので感情移入しやすいかもしれません。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

四月は君の嘘(1) (講談社コミックス月刊マガジン) [ 新川 直司 ]

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