なにやらアニメ化が決まったようですね。
今回は地獄楽の感想を書いていきたいと思います。
若干のネタバレ有りです。
最初に読み終わった感想としては「おしい作品」というのが率直な意見です。
何が惜しいかというと、面白くなりそうな素材は物凄くいっぱい詰め込まれているんですよね。
化物の島、謎解き、バトルロワイヤル、忍術、タオ等々です。
罪人と処刑人という本来敵対するはずの2人がバディとなるというのも面白いと思ったんですけどね。
ですが、それをうまく調理しきれなかったという感じでしょうか。
バトルロワイヤルも早々に共闘になりますし、処刑人もすぐに罪人と仲良くなってしまいますし、謎解きも、割と敵側がペラペラと答えを言ってしまいますし……。
まあ、謎解きの答えは、おそらく終わり(打ち切り)が見えていたので慌てて畳んだと言った感じでしょうか。
恐らく、最初は謎の化物が巣食う島でバトルロワイヤルをさせるつもりだったのでしょう。
ですが、思ったより人気が出なかったのでしょう。
割と早い段階で「バトルもの」へと路線変更していきました。
ただ、これは良かったと思います。
戦闘描写も盛り上がってましたし、「タオ」という、いわゆるハンターハンターでいうオーラや、ナルトでいうチャクラのような身体エネルギーが出てきて、さらにそれには属性があるということで、盛り上がりそうな予感がありました。
実際、戦闘は迫力があり、面白かったです。
……ですが、やはりテコ入れでも、人気の回復には至らなかったのでしょうか。
タオも属性も、そこまで活かされることなく終了していきました。
(なぜ、アニメ化になったんだろう?)
読んでいて、おそらく敗因は「キャラクターの弱さ」かなと思います。
主人公の「画眉丸」は、かなりいいキャラをしていました。
真っすぐで、強くて、目的のためなら無茶を通すという力強さもあり、まさに主人公というキャラクターでした。
ですが、その主人公のバディとなる佐切のキャラクターがいまいち、立っていなかった感じがしました。
画眉丸と肩を並べるに相応しくないというか、色々と足りないというか……。
るろうに剣心で、剣心と薫といった感じでしょうか。
るろうに剣心では、「薫」と「剣心」は恋という感情があったので、薫はバディというよりはヒロインという立ち位置だったので、あのような形で問題はありませんでした。
ですが、佐切はそんな、「恋」という要素さえもなかったので、「ヒロイン」にさえなり切れていませんでした。
もしかすると旅の中で「ヒロイン」にしようと思っていたのかもしれませんが、ヒロインになったらなったで、今度は画眉丸のキャラ性が落ちてしまいます。
いうなれば、剣心が、巴が生きているのに薫の道場で暮らしている状態、みたいな感じです。
……これだと剣心はただのクズですね。
なので、佐切はヒロインにはなれない存在でした。
そんな中、強さとしても、画眉丸に肩を並べられていません。
かといって、精神的な強さや癒しという面でも、そこまで活躍したかというとそんな感じではなかったですね。
なので、バディというにはバランスが取れていないと思いました。
次に、他のキャラクターについてですが、「罪人」なのに、みんな「良い奴」ってところです。
共闘させるので、そうしないといけなかったのかもしれませんが……。。。
「罪人」という設定なのに、それもどうかなと。
一人、アクの強いキャラがいましたが、もう少し「悪人」の方に振ったキャラもいてもよかったのかなと。
後は、後半に幕府側から「最強の剣士」が派遣されてきて、「三つ巴」になるのですが、これも結局は中途半端になってしまった感がありました。
というか、それをやるなら、犯罪者にいかせないで、最初からそいつを派遣しなさいよ!って思うのですが。。。
そして、物語のオチです。
これは「バトルロワイヤル」のまんまです。
もう少し捻りが欲しかったところですが……大団円にするためにはあれしかなかったのでしょう。
変な、終わり方になるのであれば、あれでよかったと思います。
などと、さんざん批評してきましたが、画眉丸がいいキャラをしていたところと、最後の大団円の読後感がすごく良かったので、お勧めです。
バトルも迫力あってよかったですよ。
全13巻ということで、休日に読むにはちょうどいいのではないでしょうか。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。