今回はアニメ化もされたヴィンランド・サガの感想を書いていきたいと思います。
このヴィンランド・サガなんですが、史実だったんですね。
調べて驚きました。
いきなり脱線しましたが、25巻まで読んだ、率直な感想は「なんだかんだ言って面白い」です。
まず思ったのが、絵がすごく上手いですね。
リアルとデフォルメの間といった感じですかね。
すっきりしつつも、表情も描き込まれていて、感情移入しやすいです。
そして、この作品の最大な特徴としては「話の展開がガラッと変わる」という点かと思います。
始めはガチガチのバトル物でした。
主人公のトルフィンの目的が「復讐」というのもありつつも、その復讐の仕方も変わっていて、読んでいて面白いなと思っていました。
さらに、この復讐劇は小さなものから、国を巻き込むほどの権力争いに参加することになってきます。
この展開にはかなりワクワクさせられました。
ですが、ここから一転、話の展開がガラリと変わります。
農業というか開拓の話になります。
バガボンドの米作りをやるみたいな感じですかね。
バガボンドほど米作りの描写をやるというわけではなく、様々な妨害を受けながらも開拓を進めていくというような話ですね。
割とこのパートは賛否両論があります。
自分も当初はガッカリしましたね。
なぜなら、これからガチガチのバトルや知略を駆使した成り上がりストーリーが展開されると思った矢先の方向転換ですから。
ですが、読んでいるとくやしいことに、「面白い」んですよね。
この作者は本当に「キャラを描くのが上手い」んだと思います。
なので、どんな素材で物語を描いても、やっぱり面白いんですよね。
そして、このパートでトルフィンが一段階、精神的な成長を遂げます。
今度は街作りの話になるのかと思っていたら、旅ものに変化します。
このように、ストーリーの転換が激しい作品になります。
ただ、これは別にテコ入れとかではありません。
そもそも、ヴィンランド・サガは「ヴィンランド」という場所を探して、そこに国を作るという物語なのです。
なので、ようやく、本筋に入ったという形になります。
では、バトルもののパートや開拓パートは無駄だったのか、といえば、そうではなく、トルフィンが歩んできた人生が、「ヴィンランドを目指す」という大きな動機に繋がっていくことになります。
なので、バトルもののパートや開拓パートがなかったら、ここまで深くトルフィンというキャラクターを描くことは出来なかったと思います。
しかし、これは連載を約束されているからこそできる描き方ですよね。
下手をすると本筋の前に打ち切られるという危険性も大いに孕んでいたはずです。
ですが、やっぱり、基本的に「キャラを描くのが上手いので」人気は下がることはなかったのだと思います。
特筆すべきなのが、キャラを描くことが上手いということで、魅力的なキャラが数多く出てきます。
中でも自分のお気に入りはトルケルですね。
戦好きで、本当に欲望に真っすぐである意味、見ていて清々しいです。
もう少しトルケルの活躍を戦場で見たかったなと。
あとは、青年誌で戦争を扱うということで、どうしても「胸くそ展開」というものは避けて通れません。
リアル調の雰囲気で描いているなら尚更です。
逆にないと、途端に嘘くさくなってしまいますから。
もちろん、この作品でもあります。
ただ、ベルセルクのように思い切り、そのシーン自体を描写していることは多くは無いです。
台詞の端々には「ああ、この裏では胸くそ展開だったんだな」とは想像ができますが、描写自体はあまりないので、そういう点でも読みやすいかなとは思います。
ただ、そういうのが本当に苦手な人は、避けた方がいいかもしれません。
まあ、そういう人はそもそも戦争ものは読まないとは思いますが。
というわけで、ヴィンランド・サガはお勧めです。
読んでいると止まらないので、連休中の際に是非、読んでみることをお勧めします。