今回は『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』の感想を書いていきたいと思います。
巻数:1~23巻 完結済み
作者:泰三子
掲載誌:モーニング
交番に勤務する川合麻依は、日々の警察官の激務に嫌気がさして辞めようと考えていた。
そんなとき後輩へのパワハラで左遷されてきた藤聖子とバディを組むことに。
藤との指導を通して警察官の職務や心構えを学んでいき、警察官としての責任感とやりがいを見出していく。
ハコヅメは実写ドラマやアニメ化もされた人気漫画です。
作者の泰三子先生は警察官として10年間の勤務経験があるようですね。
その経験が生かされていて、リアルな警察官の実務が描かれていて、とても面白かったです。
大体の作品は『刑事』が主題のものが多いので、交番の警察官がどんな仕事をするかというのはなかなか見れないですよね。
その点、ハコヅメは交番の警察官の実務がコミカル風味で描かれています。
交番の警察官の実務を知れるというのもありますが、この作品の見どころはなんと言っても『キャラクターの掛け合い』です。
これが本当に面白いんですよね。
一風変わった特徴的なキャラクターたちが織り成す会話は、シュールで面白いです。
また、おじさんを描くのもとても上手いと思います。
なんというか、年を取ることによる面倒くさいプライドや駆け引き、大人だからこそのドロドロの人間関係が、「あー、ありそう」という感じなのです。
なかなか、この辺を描ける作家はいないのではないでしょうか。
しかも、リアルに描くのではなく、コミカルに描けるのも凄いです。
さらに、ハコヅメは基本はギャグの日常系なのですが、要所要所で大きな事件が絡んできます。
その事件が各キャラクターに関係していて、その事件が根幹にあることがわかり、キャラクターに深みが出てきます。
本当に秀逸なんですよね。
事件も色々な事情が複雑に絡んでいて、単なる凶悪犯罪で終わらないところも見どころですね。
ただ、ちょっと懸念点があるとすると、中盤辺りから百合展開と薔薇(BL)っぽい要素が入って来るところです。
あくまでギャグとして入っているのですが、この辺が苦手な人は、引っかかるかもしれません。
後半になると、ちょっと要素的に強くなってきますし。
あとはラストが消化不良と感じるかもしれません。
全然、打ち切りというわけではないのですが「これからも日常が続いていく」という終わり方なので、スッキリしないところもあります。
主に恋愛関係の部分が消化されずに終わってしまったのが個人的には残念です。
ただ、もしかすると、今、連載されている『だんドーン』が完結したら続きを書くつもりなのかもしれません。
一応、ハコヅメは『第一部完』でしたから。
普通に第二部が始まってもおかしくないですね。
そう考えると、あの終わり方で良かったと思います。
ハコヅメはギャグが秀逸かつ、シリアスな事件も入っていて、読みごたえがある漫画になっています。
お勧めですので、是非、読んでみてください。
ではでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。