ラーメン発見伝、らーめん才遊記、現在はらーめん再遊記を描かれている、河合単先生の作品です。
ある古い井戸が江戸時代に繋がっていて、現代と江戸時代を行き来して創作料理を作るというストーリーです。
基本的な話の構成はらーめん発見伝や美味しんぼなどの料理ものと同じになっています。
ただ、この銀平飯科帳が他の料理ものと違うのは、江戸時代の料理事情はもちろん、習慣などがしっかりと描かれているところです。
凄いところはこのうんちくを無理やり入れるのではなく、ちゃんとエピソードに落とし込んでいるのはもちろん、他の話でもちゃんとそのうんちくを活かしているところです。
らーめん発見伝はらーめんに特化していて、美味しんぼは料理全般に特化しているのが、この作品では江戸時代に特化したところが特徴になります。
後は他の料理ものと違うところは、「料理対決」がほとんどない、というのがあります。
ないことはないのですが、それは主人公である銀次が直接対決するのではなく、相方である平蔵の手伝いをする、という形での勝負です。
それでも1、2回しかありません。
こう聞くと盛り上がりがないのではないかと思うでしょうか。
らーめん発見伝でも美味しんぼでも、「負けられない勝負」を前に緊迫したストーリーが展開されます。
確かに、こういう勝負のときは否が応でも盛り上がります。
ですが、この作品ではあまりありません。
では、盛り上がりがないか、というとそうではありません。
いえ、盛り上がる、というより、勝負をしなくても「面白い」という部分です。
つまり、銀平飯科帳の面白さは勝負ではなく、あくまで江戸のうんちくとキャラクターの面白さです。
毎回、へーと思うような江戸の情報や、キャラクターのやり取りが見ていて面白いです。
ある意味、日常系に近い安心感とずっと見ていたいと思うような魅力がある作品になってます。
現在11巻まで出ていますが、飽きることなく次の巻が読みたいとなります。
料理もので1話完結タイプのお話なので、前の巻を読んでなくても難なく読めてしまいます。
(そこまでポンポンと新キャラが出るわけでもなく、ちゃんとメインキャラクターたちを大切にしています)
最後にちょっとだけ、私的な感想を添えていきます。
現代にいる平賀と葉瑠の性格、悪すぎませんかね。
もし、現実にいたら絶対に出禁にしてますよ。
銀次はよく、この2人と友達を続けられるなと思ってしまいます。
逆に江戸の人たちはみんな温かい性格なんですよね。
私の中では銀平飯科帳のヒロインは平蔵さんだと思ってます。
最終回は江戸に残って終わるのかな、と予想してます。
料理ものが好きであれば、是非、読んでみてください。
お勧めです。